1.はぐれ同士

 

 

 

―― じゃあ、残ったあなた達で組んでみたら?

 

 それは、ちょっとした遊び心だったのだろう…………

  担任のその一言から私達は始まった。

 

 

 

「えっ……? 『異世界の都市伝説』ぅ?」

 

 学校などの集団行動を強制される場所ではよくある、『二人一組になって……』というお約束な場面で、常に余っていた私達二人。

 最初は互いに話を切り出そうとはしなかったのだが…………

 冒頭の様な担任の声があり、どういうわけかいつの間にか意気投合して

今では親友と呼べるほど親しい仲になっていた。

 

「そう! そうなの!」

「全く、あんたは……『都市伝説』だの『怪奇現象』だの…………ほんと、そういうの好きだねぇ」

 

 私は自分自身の机で頬杖をつきながら、

了承も取らず勝手に席を奪って私の前に座る美々に呆れながら言う。

 

「うん! 今回は小梅ちゃんにも興味を持って欲しくて、身近なものを探してみたの。で、見つけたのが『都市伝説』! もちろん、この市由来の『都市伝説』だよ」

「えええ……この市にも『都市伝説』とかあるわけ?」

「それが、あったんだよ!」

 

 呆れながら返す私に構わず、両手を合わせて歓喜に満ちた笑みを見せる美々に

私は見せ付けるようにため息をこぼしてやった。

 

「あれ……? 興味ない?」

「ない…………わけじゃないけど……いまいち信じられないのよね」

 

 実は結構危険な事とか冒険だとか、そういうのは好きな方なんだけど……

幽霊だの怪奇現象だのと言ったものはあまり得意ではない。

 

「ふふっ、本当に小梅ちゃんは現実主義者だよねぇ。リアリストっていうんだっけ?」

「それを言うなら美々は理想主義者よね。イデアリストだっけか」

「うーん? そうかなぁ?」

 

 そう言って自分のことになるとすぐに頭を捻るのは、素直でかわいい美々の数少ない欠点だ。

だけど私とは違って、美々は以外に楽観的。すぐに笑顔になって話を戻してくる。

 

「とりあえず話だけでも聞いてみて!」

「はいはい、わかりましたー」

 

 このやりとりも、美々と話すようになってから何回……何十回と繰り返している。

そう。美々は筋金入りのオカルトオタクなのだ。

 

 だから油断していたのかも知れない。

 私には関係ない。美々の話を聞いているだけ。

きっとそんな不思議な事に出会うのは、私じゃなくて美々だ。

 

 

 ………………そう思い込んでいた。

 

 

 

 

H23/11/17

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